七式ドロップス

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【感想・ネタバレなし】一進一退の頁めくりが恐怖を紡ぐ 〜 ホラー小説『近畿地方のある場所について』

カクヨム発のモキュメンタリーホラー小説、『近畿地方のある場所について』。著者は背筋さん。

以前、このブログで紹介した青春恋愛ホラー小説『夜道を歩く時、彼女が隣にいる気がしてならない』の著者、和田正雪さん経由で知った本作ですが、カドブンの企画「今読むべきホラー&ミステリ5選」の選者が本作の著者で、その内容に興味津々だったこともあり発売日に購入。早速、その日の夕方から読み始めます。

まず、あらすじ。サイトにはこう書かれています。

情報をお持ちの方はご連絡ください

近畿地方のある場所にまつわる怪談を集めるうちに、恐ろしい事実が浮かび上がってきました。 

これだけなんです、あらすじ。なので情報収集のために紹介PV探してみると、こんなショート動画を発見。再生して見ましたが、謎が深まるだけでした。

続いて本の表紙。インパクトがあり印象的なのですが、特に目をひいたのは、本につけられた帯の文字

「見つけてくださってありがとうございます。」

書かれているのはこれだけですが、何かしら恐怖を感じずにはいられず・・・・・・。

ひとまず気持ちを引き締めてページをめくり始めたものの、冒頭の短編は何というか、そこまで怖さを感じるものではありませんでした。

「こんな感じの怪談集が続く?そんなわけないよな」そう思いながら読み進めるうちに、あらすじの"意味"を理解し始めます。すると、印象が激変。

それからというもの、とにかくページをめくる手が常に慌ただしく忙しくなります。

話が進むたびに何かが僕の中で引っかかり、その理由を探るべく過去のページを再び読みなおす。底知れぬ恐怖の正体を探るために、そんなことをずっと繰り返すのです。

時が経つにつれ、指先に汗。部屋の暑さのせいか、指使いの忙しさのためか、それとも恐怖によるものなのか。僅かに湿った指を操り、読んでは戻り、読んでは戻りを繰り返し、戻ったページにだけ残る指跡。

しおり代わりのシールのような跡を頼りに読み進めると、やがて僕は気づきます

奇妙な出来事や噂、オカルトな記事、伝承、怪異・・・・・・時系列もバラバラな話の数々に見いだされる共通性と、それらに含まれる謎や異質さが巧妙に絡まり重なることで浮かび上がる事実に。

まるで謎解きのような展開は、ラストに行き着くまでのリアリティさを強調し、積み重なる謎は更なる恐怖を産み続けます。

そうしてたどり着く結末ですが・・・・・・そうですね、他言無用とだけは言っておきます。危ないですから

ひと息ついて本を閉じると、時計は午前2時を過ぎていました。翌日(既に当日ですが)の早朝から予定があるにも関わらず、それでも僕の好奇心をつかんで離さない巧さと力強さが、この本にはありました。ぜひ手に取って読んで頂きたい作品です。

なお、これから読まれる方へのアドバイスとしては、常に『視点』に着目するとよいかもしれません。

また、本作をWebで未読の方は書籍化された紙の本から読むことを強く強くオススメします。特に、巻末の付録(袋綴じ!!)が最高です。

柿でも食べながらまったりとお楽しみください。

 

最後に。

 

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